長く似顔絵こけしを製作していますと、ときおりお客様から「何で絵付けしてるの?」「どうやって描いてるの?」「パソコンを使っているんですか?」などのご質問をいただくことがございます。特に変わった技法・道具を使っている訳ではないんですよ。
今回は特別企画として、「製作風景~胴・偏」を掲載したいと思います。
商品サイズに削った木地を良く見直して、表面にヒビ・キズ・穴が無いか確かめます。ヒビの入った木地は使用しません。キズや穴が空いていた場合は、木工用のパテをつめて平らに埋めます。
木地に中心線を引いた後、下線を描いていきます。型紙とかは使用していません。完全ハンドメイド作品です。
先に襟や縁取り部分を塗っていきます。これは手で持って作業をしやすいためでもありますね。使用する絵具は、主にポスターカラー。黒はポスターカラーに墨と染料を少し入れています。
細かな部分は面相筆ですが、ここは大きな平筆で一気に塗っていきます。1度に濃い絵具で塗ると、乾燥した後にはがれることがあるので、薄くした絵具を2~3回重ね塗りをしています。
最後に襟や袖口などに灰色の絵具で細く線を入れて完成させます。この後に乾かしてから工場にて表面塗装します。
原木の種類は、主に水木(ミズキ)を使用。原木は秋に伐採し、冬の間に1年分の材料を仕入れます。産地は、群馬の山間部が多く、皮をむいて最低半年から1年かけて自然乾燥させます。
一定の長さに切断した後、ロクロを使って職人の勘と技術で同じ形に削ります。 数量の多いものは、機械で削ることもあります。
荒研磨・下地研磨・仕上げ研磨など数種類のサンドペーパーで丁寧に磨いた後、ニクロム線を熱して焼きを付けたり、染料や絵具で色付けをしたり、彫刻刀で模様を彫刻したりします。
下地塗装を数回行い、仕上げ研磨をしてから、最後に仕上げ塗装を数回行います。塗装の回数や、塗料の種類により商品のツヤが変わります。